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【 地積測量図 】 地積測量図の引照点

【 意見 】 公共基準点を使用しても、従来の引照点は大事です。

平成17年の不動産登記法の大改正から公共基準点の使用が始まったわけですが、

従来から使用してきた引照点についての取扱いが少々変わってきています。

公共基準点から登記基準点を作成し、それを地積測量図に載せて引照点の代わりにすることで

従来から使用していた構造物の引照点は無しで登記している方がいらっしゃいます。

登記の可否だけで言えば、全く問題は無いのですが・・・

ただいくつかの心配事があります。


ほとんどの場合、登記基準点は道路上に設置されています。

しかもトランシットを据える都合上、アスファルトが大部分になります。

道路のアスファルトは、地下に下水や水道、電気など、様々なものが埋まっているため、よく掘り起こされるので

すぐ亡失してしまいます。 そして、アスファルトは意外に柔らかく熱や大型の車の往来で動くこともあります。

公共工事の場合なら、亡失後に復元してくれたりしますが、ズレが大きくなります。

そのような理由で、基本的にアスファルト上の基準点は長持ちしないと考えるべきです。


もし仮に登記基準点が無くなっても、世界測地系座標なら地球上の固定点でいつでも復元可能と考えられている方も

いるかと思いますが、実は世界測地系座標(公共基準点)にも様々な問題があるのです。


1.誤差が大きいかも!?公共基準点

  既存公共基準点の点間距離をチェックし誤差1センチであれば現地も1センチの誤差で測れるのか? というと違います。

  公共基準点の設置方法として、一部をGPSによって観測し、あとはトランシットで多角網といわれる観測と計算

  方式を用いて座標が計算されています。  この計算方法で、実は地域単位に誤差が生じています。

  例えばGPSで観測した基準点に既に1センチの誤差があり、チェックした基準点の誤差が1センチあるとします。

  これで合計2cmの誤差が発生していることになります。 実際にはこんな簡単な計算にはなりませんし

  前者の誤差の大きさは登記の時にチェックしないのでわかりません。

  言いたい事は登記の際に使用する公共基準点は、お隣同士の点について同方向の位置誤差をもっているため

  現地チェックでは出てこない誤差を抱えているのです。


  そこから登記基準点を放射方式で設置した場合は、更に誤差が増加していくことになります。

  測る境界点も含めて同じ方向に位置誤差をもっているので、点間距離を測ってもバッチリあってきます。

  そんな感じなので、すぐに問題は起きないんですけどね。

  公共基準点は一定年数で改測され、新しい座標値が与えられます。

  これで、登記基準点が無くなっていて、再度同じように公共基準点から測量してみると、大きくズレてくる

  可能性があるのです。 公共基準点は、国土地理院等の測量作業規定に基づいて測量されているんですけどね、

  市街地の土地の境界を、この基準点だけで管理できるほどの精度は無いと考えておいたほうが良いと思います。


  ※結局このページでは1つしか問題をあげていませんm( _ _ )m 今後少しづつ取り上げようと思います。


以上のような理由で、地積測量図に公共基準点と登記基準点しか載せなかった場合、社会から求められている

測量精度を満たせていない可能性があるのです。 (面積は合っているけど、位置誤差が大きいという状態、または

登記基準点の亡失で精度を失うという状態)



最後に簡単に特徴をまとめてみますと

公共基準点(世界測地系座標)の利用は、少々精度は悪くなりますが、半永久的に境界位置を復元する能力を

もたすことができますし、地図の作成などにも役立ちます。 

そして従来の引照点は測量する土地のすぐ近くに設置、観測は境界点と同一の基準点を使用して行うため

境界点との位置関係において非常に高い精度をもっています。


事例が少ない中で結論づけて申し訳ありませんが・・・

このように、公共基準点と、従来の引照点とは、お互いに欠点を補完しあう関係にあり、両方をうまく活用することで

将来の利用に耐える地積測量図と なるのではないでしょうか。


地積測量図の保存は永遠なので・・・ね。


※図が無いと分かりにくいですね・・・反省。
H22.8.18


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