
【 測量実務 】 ”精度”の中に”確度”を意識すること |
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〔意見〕精度の中に確度を意識すること
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私たちが普段使用されている”精度”には、”確度”の意味合いが含まれていますが、
そんなことを意識しないで測量されている方も多いのでは・・・と思います。
実務ではよく”精度”という言葉と一緒くたに扱われているので、”確度”はあまり登場しないのですが、
すごく大事な部分ですので、一度取り上げてみますね。
精度と確度の意味をハッキリと分けて説明すると・・・
測量でいう”確度”とは
”近似値の正確さの度合い”を表しています。
近似値は真値(求めたい値)に近い値という意味で、”確度”の良し悪しは真値との差の大きさで判定します。
※真値が不明な時は、真値に最も近い近似値との差で判定します。
では、”精度”とは
広い意味で簡単に言えば”正確さを表す度合い”なのですが、単純に誤差の大きさを表すときもあれば、
同じ箇所を器械で観測した時の値の散らばり度合いを表して言う場合などもあり、厳密に言えば、
そのシーンに合わせて意味は微妙に違っているのです。
ただ、”確度”との意味の違いを明確に説明すると
”確度”は常に真値との差が判定基準になりますが、
”精度”は単に測定値同士の比較(差)でもって良し悪しを判定できます。
では、実務に照らし合わせて考えて見ましょう。
例えば、現地で発見されたばかりの2点の境界点の間を3回測った観測値があるとしましょう。
観測データ
1回目30.253 2回目30.254 3回目30.252 この測定値は30.253の±1mmしかズレがありません。
こういう場合、すぐ”精度”が良い(高い)と判定できます。 しかし、この時点では真値との差が分からないため
”確度”の良否判定はできません。
ここで、なぜ真値との差が分からないのか???となるかもしれませんね。
真値と言えるには、誤差やミスがその観測データに含まれていてはいけません。
上の観測データでは、その有無を見つけるのは無理だからです。
そこで、違う条件でもって、同じ2点間の距離を測定します。
もし、その値が30.153だったとしたら、上の観測データは”確度”が悪いという判定でき、その原因を究明することになりますし、
30.253だったとしたら、”確度”も良いと判定でき、確度まで確認されたデータが実際に活用されるデータということになります。
条件の変え方ですが、例えば直接観測法と間接観測法、機械(トラ)とテープ、違う2台の機械を使う、
違う基準点からの測定などなど、いろいろな方法があります。
違う条件で測定すれば、同じ方向に同じ量の誤差やミスが発生するという可能性は極めて低いため、
真値(厳密には近似値ですが)との差として良否判定を行うことができます。
公共測量等官公庁の測量では、間違い無い!ということの、しっかりとした根拠付けが必要になるため、
上記のような”確度”を意識した測定、点検を行い、書面にて提出するという取扱いがなされています。
私たちも測量のプロと言える職業なので、決して誤差やミスでお客様に迷惑を掛けるようなことがあってはいけませんよね。
人間だから、誰だってミスするもの・・・ そんな割り切る声もあるかもしれませんが、
もし精度と確度の点検が漏れなくできれば 測量のミスの可能性をほぼゼロにすることができます。
私たちに求められている測量レベルは、登記に公共基準点を利用するようになってから益々高度になってきています。
そんな時だからこそ、今一度測量方法について技術的に問題が無いかを見直していくことが大事だと思いますし、
その一つとして”精度”の中に”確度”を意識して測量することが必要なことと思っています。
※ここでは、精度や確度の良し悪しだけで”程度(度合い)”については触れていません。
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