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【 筆界確認実務 】 〔問題提起〕公図の”証明力”は上がるのか?


【 問題提起 】 

  筆界を修得することは私たちにはとても大事ですよね。 特に公図に関して言えば 奥が深すぎ!っと叫びたくなるほどです。

 そんな事情から同じ土地家屋調査士であっても、知識の量は大きな差が生じているのが現状であるかと思います。

  さて、筆界の知識を高めようと研修会が多数開かれているのですが・・・。

 公図から得られる情報が増えてくるにしたがって、筆界を特定するための資料(証拠)として公図に比重が集まって

 くるような錯覚がありませんか? それは、公図に対して高い証明力を感じている証拠だと思います。 しかし果たして筆界を

 特定するための公図の証明力はアップすることがあるのでしょうか。


【 当職の意見 】

1 公図の”証明力”は上がるのか?

 (1)人は錯覚を起こす
  
   人は労力に対して価値を感じます。 公図を極めるために大きな労力を費やしたなら、それに比例して価値を感じるもの

  です。 そして公図から得られる情報量がとても増えてくるという事実もあって、公図に対して高い価値を感じます。

  ここで気をつけたいことは、価値を感じる事が公図の証明力を高く評価することにつながっていないか ということです。

  公図の価値と証明力は全く別の次元の問題です。 しかし人は錯覚を起こしやすいものであり、これを混同してしまいやすい

  ことに注意しなければ ならないように思います。


 (2)公図は変わらない

   当たり前のことなのかもしれませんが、私たちが いくら知識を積んだところで公図そのものが変わるわけではありません。

  変わるのは、公図から得る情報量なのです。 つまり公図の証明力は変わりません。 変わることがあるとすれば筆界に

  ついて同一の結果を示すような物証や人証が出てきたときです。


  ※公図の証明力は、作成経緯や地域などによって大きく異なります。


 (3)私たちの鑑定(意見)の証明力が上がる

   公図の証明力が上がらなくても、より正しく分析できれば、その鑑定(意見)の証明力は上がります。

  知識を積む意味はここにあると思います。 そもそも証明力がどの程度あるのかを判定することは難しいものです。

  知識を積めば積むほど沢山の情報のもとで分析することができるため、より正しい判定が可能になります。

   例えば、(間違っても数値で表せるものではありませんが、意図を伝えやすくするため、証明力を数値化しています。)

  証明力が36の公図があったとします。 公図の研究をしているA土地家屋調査士は38と判定しました。

  公図をある程度知っているB土地家屋調査士は30と判定しました。 公図をほとんど知らないC土地家屋調査士は

  50と判定しました。 

   
このように知識を積んでいる人ほど、公図の証明力を より正確に判定でき、また他の証拠を含めて分析することで

  高い証明力を得る鑑定(意見)ができるのです。
 もし公図を極めたとしても、公図の価値と証明力を分けて考える事を

  忘れてしまっては、その知識は物的証拠と人的証拠のバランスを崩し、下手をすればトラブルを招く元にもなってしまうと

  いうことに注意しなければなりません。



  ※実際にはどれほど知識を積んだかなどは客観的には分かりにくく社会的地位によってその評価が左右されると言えます。


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ご意見違う方、たくさんいらっしゃると思います。 それはあって然るべきだと思いますし、それが討議されてこそ、

本当に良い考え方が生まれるものと思っています。
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