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【 話し合い 編 】 お隣様との話し合いに、どれくらいの主張ができるのか? |
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5.公図に基づいて主張できるか?
(公図はどこまで信用できるのか) |
「公図」とは法務局で閲覧できる境界の資料のひとつです。
法務局という国家機関で取り扱われることから、過度に信頼
してしまう方が多くいらっしゃいます。
しかし、公図の作成経緯は明治時代まで遡り、用途も今と
異なっているなど、それだけで信頼できるとは言い切れません。
公図を少し知ることで、柔軟な対応ができるかもしれません。
【 公図の種類 】
公図は、実は俗称で、業界用語みたいなものです。
少しややこしいですが色々な経緯で出来ているため、ひと口に
公図といっても種類があるのです。
主な種類や呼び方を挙げてみます。
1.旧土地台帳附属地図 (旧法律用語 土地台帳法:廃止)
2.地図に準ずる図面 (法律用語 不動産登記法)
3.地図 (法律用語 不動産登記法)
4.地籍図 (法律用語 国土調査法)
”1”と”2”は同じ種類の図面です。
1〜4を含めて広義で”公図”という言い方をする時もあれば、
特に”1”と”2”のことを言う場合もあります。
ここでは、多くの人が該当するように、”1”と”2”について解説
したいと思います。
以下「公図」として説明しますね。
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【 公図の概略史 】
もともと明治時代に"課税"の目的で作成されました。 明治政府は課税制度を早急に整える必要があったため人民に測量と申告を
任せたのです。 そのため測量技術が未熟で、不正確さが生じていました。 一般的に税金を安くしたいがため、面積を過小で
作成、申告した例が多いようです。 以下簡単に歴史を見ていきますね。
昭和25年以降・・・公図が税務署から法務局へ移管される(登記利用へと目的が変わりました)
昭和35年以降・・・不動産登記法が施行(今の登記制度とほぼ同じ)されました。 この時、問題が多い公図を、全部作り変える
予定だったのです。※2 そのため、一旦”公図”は法律上から削除された時期がありました。
しかし、現実には境界の調査が思うように進みませんでした。
昭和52年以降・・・境界の調査が進まないため、公図を再び利用するように法改正がありました。
現在に至る
※2 国土調査法(昭和26年6月1日)で土地の境界を調査する国家事業が始まっており、不動産登記法では、これにより
作成される図面を新しい公図として利用する予定だったのです。
【 公図は正確?それとも不正確? 】
調べていけば行くほど、正確か、不正確か、分からなくなるのが公図です。
専門家でも認識や意見の違いもあり、表現一つとってもマチマチです。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
それは公図が日本全国 万人が参加して作成をされたこと、それから現況(山、畑、住宅地等)の違いが挙げられます。
日本全国の何百万枚の公図が、みな微妙に異なる条件のもとで作成されているのです。
専門家(土地家屋調査士)であっても、その住んでいる地域によって、公図に対するイメージが違ってくるのです。
私達土地家屋調査士は あなたの土地の公図が どれほど正確なのかを判断するために、その公図の”地域性”を
調査しているのです。
自分で判断することは非常に困難だと言えるでしょう。
【 公図に対して どんな見方をすれば良いのか? 】
公図に対する裁判所の判断として水戸地裁S39.3.30では、
「必ずしもあてにならない場合も少なくないように思われる。」 と判断しています。
一般的な意見も、地域による差はありますが
「大体の方位・地形・隣地との位置関係を知るには有効であるが、距離・角度・面積は的確性を欠くもの」
となっているようです。
実際に境界を決める時にも、公図のみで境界を判断する事が出来ないことが多々あるため、土地取引の現場では
「いいかげんな図面」というレッテルを貼られ、そういう情報だけが先行して広まっているようにも感じます。 しかし、
土地境界の専門家である土地家屋調査士としての立場の意見としては、公図は決して「いいかげんな図面」ではありません。
私達が境界線の位置を判断する時に、公図無しに判断することは、あり得ませんし、無くてはならないものなのです。
公図のみでもって判断出来ないとしても、他の境界の資料と合わせることで、非常に的確な判断を導いてくれる材料と
なっているのです。
【 公図による主張は、専門家に相談してから 】
以上に述べさせていただいたように、非常に難しい図面であることをご理解いただけたでしょうか?
個人で、公図から境界線を判断し、主張することは、相手が公図を知っているほど受け入れ難いものとなってしまうのです。
公図による主張をしたい時は、土地家屋調査士に相談してからでも遅くはありません。
無用な争いを避けるために、どうか ご面倒とは思いますが、少しだけ遠回りして、専門家の意見に耳をお貸しいただけたら
幸いです。
〔サンプル 公図:旧土地台帳附属地図) とある住宅地

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