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【 筆界特定制度 編 】  新しい制度をうまく活用するために。


1.筆界特定制度を利用するとき
(誤解が多いので注意して下さいね。 )

境界紛争を解決するための制度ではありません。

これを言うと、えっ と言われる方も多いことと思います。

それは、この制度がとても誤解を受けやすくなっているので

間違った認識の方が多く、資格者であっても誤解されている方は

珍しくありません。 

では、どんな制度なの? となりますが、簡単に言えば

”境界線を決める”ための制度です。

制度上では、
”筆界を特定する”と表現しています。

境界紛争を解決するための"一つの手段"として活用できますが

境界紛争を解決するための特別な措置をしてしてくれるもの

ではありません。


【 筆界特定制度の誤解で起こる問題 】

上記の誤解だけに絞って主に起こっている問題は

・申請件数に対して約半数が取り下げ等になっている。

・境界が決まっても紛争が解決しなかった。

・自分の認識とは全く異なる場所が境界になってしまった。

・境界が決まったのに境界杭が設置できない。

・長期化

などです。

【 なぜ誤解が多いのか? 】

平成18年1月20日に、筆界特定制度が施行されましたが、それまでは、役所が行う境界を決める手続は裁判しか

ありませんでした。

裁判では強制力があるので、強引ではありますが、境界紛争の解決によく利用されていたわけです。

そんな過去の経緯があるなかで この制度が誕生しました。 そして、法務省の筆界特定制度のパンフレット等に、

”裁判しなくてもよい” みたいなことが書いてあるので・・・、一般の人だけでなく資格者が見ても 裁判をしなくても紛争が

解決できるような制度なんだ!って思ってしまうのです。

実際には境界紛争は、境界が決まれば解決するという単純なものでない場合は多いのです。



【 制度をうまく活用するために 】

この制度を活用するための良い条件は下記のようになります。


(a)境界を決めたいとき。 (筆界を特定したいとき。)

 制度の目的上、必ず必要になる条件です。

(b)お隣様と 感情的な摩擦が少ないとき。

 感情的な摩擦があったとしても、話し合いができているようであれば、手続はスムーズに進むと思います。 ただし、申請の前に

 お隣様に声を掛けておくことが”境界マナー”です。 声を掛けられなかったお隣様が怒るというケースがでてくるからです。


(c)境界線の位置について、あなた(以下A)と お隣様(以下B)の意見が違っているときで、かつ、ブロック塀等の構造物が

 境界線と推定されていないとき。

 例えば、Aの意見がブロック塀の面の右側で、Bの意見が左側となっている時、AとBが考えている場所と全く検討違いの所が

 境界という結果がでることがあります。 この場合、結果がでても解決できず、負担が増すだけに終わります。

 その為、お互いの主張がハッキリしている場合は注意が必要です。

(d)境界線の位置が全く検討がつかないとき。

 境界線の目印になりそうな構造物が無く、ABが境界位置を全く知らなければ、筆界特定申請の結果がどんなものであっても

 当事者がその結果を受け入れられやすくなります。

(d)役所が出した結論(境界の位置)であれば、AB双方が従うということで 同意しているとき。

 当事者が役所を信頼している必要があります。 そして(d)の状態である必要があります。


上記はあくまで”良い条件”というだけですので、詳細な診断は お近くの土地家屋調査士へお願いしてくださいね。

もし依頼する時は、少しだけ注意してほしい事があります。

”境界紛争”や”境界トラブル”という言葉に 明確な定義 があるわけではないので、資格者によって その捉え方は様々だと

思ってください。 境界線の位置の意見が違い、感情的な摩擦が無い状態でも 境界紛争 と呼ぶ方もいますし、

境界線の位置が 全く検討つかない 状態で 境界トラブルという方もいます。 言いにくいことはたくさんありますし・・・、

伝えることは簡単ではないかもしれません。 しかし、あなたの状況(境界線の問題の程度や感情的な摩擦の程度など)を、

なるべく正確に伝えることは、とっても大切なことなのです。



※不動産屋さんの立場であれば、他にもいろいろ活用の仕方があると思いますが、ここでは省略しています。

※筆界特定を申請して受理された後であれば、問題のある境界線から1mくらい控えて分筆の登記を受付してもらい、
  その登記後に筆界特定を取り下げるということが、よく行われています。 同じ法務局で受付している制度でありながら
  このような無駄なことが行われていることは当事者の負担を増やすだけで早急に制度の改善をしなければならない部分
  だと思っています。 登記官による筆界認定を、筆界特定制度へ振ることで責任回避をするべきではなく、筆界特定制度を
  利用しなくても、なるべく通常の登記事務処理の中で、筆界認定を行えるように努力することで、境界紛争地の当事者の
  負担は軽くなるものと思っています。


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