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【 境界に関する書類 編 】

1.地積測量図ってなに? (その役割と変化)

法務局に備え付けられた土地境界の測量図面の

ことです。


昭和から平成にかけて、日本の大きな経済発展の中で、その

役割は時代と共に変わり、制度も発達してきました。

土地利用の変化から価格高騰がおこり、それが国民の権利意識

に変化をもたらしました。 地籍測量図はその影響を大きく受けて

います。 まさに”時代を映す鏡”といえるのではないでしょうか。

ここでは、時代と共に変ってきた地積測量図の役割と変化を

簡単にご紹介します。 

今の地積測量図に対する固定観念は一旦消して、その時代に

合わせた視点で見てくださいね。


【  〜昭和35年3月】

今ではよく「申告図」と呼ばれています。 ”申告”の名のとおり

土地の所有者が、役所に対して、単に土地を分けましたよ〜っと

報告するような図面でした。 土地の境界線は決める必要もなく

隣地の人も関係ありません。 現地の測量をせずとも作成できて

しまうような図面でした。 保存期限が10年ということもあり、

現存していない場合が多いです。

では、土地をどうやって守っていたのでしょうか? 

土地の位置や形状は”公図”によって分かりますが、境界の

細かい位置は現地で守るしかありません。 

しかしこの当時は、境界線をあえて”線”にしなければならない

ほど、細かな境界位置で問題となることは少なかったようです。


◇この時代の地積測量図の役割と変化
・事実報告として(土地を分ける、面積を修正する(分筆更正))
【昭和35年4月〜昭和52年9月】

まだ法制度上では、現地測量を必ずする必要もありませんでした。 では、どこが「申告図」と変ったのでしょうか?

大きな変化は、「ずっと保存していきましょう。」というところです。 

しかし、この時の法制度で求められたものは、必要最小限であり実際の土地取引の現場では、面積や境界線をより正確にする

必要に迫られることもでてきました。 机上だけで作成した図面から、一部ですが現地で整合する図面まで存在します。 

ただし、仮に正確に測量された地積測量図であっても、まだ面積を表示するほうに重点が置かれており、図面から現地の境界杭

を特定したり、復元性に関することは、ほとんど考えられていませんでした。

※新制度の実施は、地域差が大きくなっています。 全国的に昭和40年ごろに完了しています。


◇この時代の地積測量図の役割と変化  ※付加されたもの
・面積、土地形状が ある程度わかる
・境界線の資料として保存



【昭和52年10月〜平成5年9月】

地積測量図の中に、現地に境界杭があれば、その種類を表示することも、義務付けられ、図面が現地を特定できなければ

ならないと考えられるようになってきました。 しかし、境界杭が復元できることは、まだ求められていませんでした。

作成時に、現地で土地境界の測量や立会いも行われるようになったため、一応境界線と認められる可能性が高い図面と言え

るでしょう。 正確に距離を測る”光波測距儀”と呼ばれる機器も少しづつ使用が はじまり、一部で非常に精度の高い図面も作成

されています。

しかし隣地との境界線の確認が、まだ不十分であったり、測量がテープで行われることもあり、現存する境界杭との差が

大きいことも、多々あります。 

そのため、この時代の地積測量図があったとしても、現地の境界杭との整合が許容範囲に収まらないために、再度境界を決める

作業をしなければならないことが多いと言えます。


◇この時代の地積測量図の役割と変化   ※付加されたもの
・面積、土地形状を信頼できるものへ
・現地にどんな杭が入っているか(現地特定性)



【平成5年10月〜平成11年9月】

境界杭を地積測量図から復元できることを求められるようになりました。 これにより単に面積や土地の形を知る図面から、

”現地の境界線を守る”働きが付加されたと言えます。

そして、測量や立会いもより厳密にすることを求められ、「立会証明書」と呼ばれる書面がよく使用されました。 

測量機器の発達や普及も後押しする形で、地積測量図は大きな進化を遂げた時期と言えます。

しかし、測量機器や法制度の急な変化もあり、図面の”差”は大きいと言えます。


◇この時代の地積測量図の役割と変化   ※付加されたもの
・境界杭が無くなっても復元できるように(復元性)
・測量精度が大きく進歩した(測量機器の発達と普及)
・面積、境界線を信頼できるものへ(立会を書面化)



【平成11年10月〜平成17年2月】

境界トラブルが増えたために、地積測量図を作成する際に隣人との境界線の確認を、筆界確認書(原則印鑑証明書付)に

よって行われるようになりました。


◇この時代の地積測量図の役割と変化   ※付加されたもの
・面積、境界線により高い信頼性を(立会書面に印鑑証明書)



【平成17年3月〜現在】

原則、公共基準点(世界共通の座標)を使用して作成することが義務付けられました。 

これで、例え土砂災害で現地の形状が一切分からなくなったとしても、地球上のどこに土地があり、どこに境界線があるかを、

復元できるようになりました。


◇この時代の地積測量図の役割と変化   ※付加されたもの
・より高い復元性を(公共基準点の使用)



【 現在の課題 】

・平成17年3月から始まった公共基準点の使用は、土地所有者に大きな負担がかかる。

・公共基準点の利用で、2〜3cmの差が生じたりするため、都市部の復元性としては不十分である。(従前方法と混合の必要あり)

※都市部では費用対効果が薄い、制度の過渡期であり、今後改善されていくと思われます。



【 最後に 】

ご相談の中で、地積測量図をお持ちの方は多くいらっしゃいます。

しかし、その作成した時代に関係なく、図面に記載された面積や間口の寸法が絶対にあると思われている方が珍しくありません。

こういった誤解が、境界トラブルのもとになることも多々あります。

いつの時代のものであれ、大事な境界の資料であることには、変りありませんのが、”絶対”で押し通さず、ときに専門家を通じて、

お隣様とお話をしてみてくださいね。


↓サンプル 地積測量図とはこんな図面です。↓↓



※個人様の視点で作成しています。
※法改正のあった年で一応区切りをつけていますが、 実際には綺麗に線引きできるものではありません。
※少し知識をお持ちの方には、もの足りない書き方と思いますが、今後お待ちくださいね。
※残地の問題等、今後作成を予定しています。

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