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【 トラブル予防 編 】

3.塀をつくるときは。(新しく作る時に気をつけること)

塀はどんなふうに作ったら良いのでしょうか?

境界トラブルを予防する働きもありますが、作り方を誤ると

トラブルの基にもなりかねません。

ここでは新しく塀を作るときのことを説明しますね。


【 誰と話をすれば良いか? 】

塀を境界”上”に設置したい時は、相手に請求ができるものの

勝手には設置できません。
 もし相手が承諾してくれない時は

境界を越えないように設置をしましょう。※1

では誰と話をすれば良いのでしょうか?

塀は、土地の利用者に影響を及ぼす構造物なので、必ずしも

土地所有者とは限りません。

民法の規定で言えば、建物を所有している人です。 

(建物の所有者)(土地の所有者)(誰に話をするか)
  Aさん        Aさん      Aさん
  Bさん        Aさん      Bさん
  Bさん※借家    Aさん      Aさん

ただし、法律でそうなっているからと言って、土地所有者や、

借家人を無視するのはよくありません。

現実的に気にする方が多くいらっしゃるからです。

※1承諾が無くても裁判で請求すれば境界”上”に設置できる

  可能性は高いですが、お勧めしていません。
【 つくり方 】

ブロック塀は建築基準法による規程があります。

高さ何メートル以上なら支えを入れなさいなどの内容です。 ここでは、詳細は省きます。

※条例や、町で協定を結んでいるなどの制限をしている地域であれば、位置や高さを含めそれに従う必要があります。


【 位置 】

どこにつくるかに関しては、特別定めはありませんが 一般的には境界線に合わせて作られることが多いと言えます。

よく言われる、「境界線から50センチ以上」というのは、民法で建物の建築について制限しているのであって、ブロック塀など

対象にはなっていません。

境界線”上”に設置する時は少なくとも承諾が必要になりますし、境界付近に塀をつくるのであれば、お隣様に、どのような位置に

設置するのかを事前に伝えましょう。


【 高さ 】

何メートルにしなさいといった規程があるわけではありませんが、あくまで”常識的な範囲”である必要があります。

ブロック塀は2〜2.2mの上限※2がありますが、あくまで上限です。 ”常識的な範囲” は地域による差もありますし

敷地の広さや建物との位置関係によって差が生じるところです。

では、なるべく高くしたい場合は、どうすればいいのでしょうか?

その場合は、お隣様に聞いてみてください。 ”お隣様の承諾が得られる範囲”ということになります。※3


現在では、良好な住居環境についての考え方が浸透してきていますので、たとえ、自分の土地の事情があったとしても、

無承諾で 常識的でない高い塀を作る事で、日光を遮ったりすれば、相手の良好な住居環境を侵害しているとして、法的に

訴えられる可能性もあるので、注意してください。※4


※2ブロック塀は建築基準法によって2〜2.2mが”上限”となっています。

※3
境界上に塀を設置することに承諾が得られない場合の規定が民法にあります。高さが2mが上限で、材質は板又は竹と
 書かれていますが、古い規定のため、ブロック塀やその他の塀であれば2mで認められるとは限りません。

※4不法行為・権利の濫用・日照権などの問題


【 費用 】

作るほうが出してはいかが。(お勧めとして)

境界線上にブロック塀を作りたいときは、民法の規定では、”お互いにお金を出し合う”折半のような話もあります。※5

相手が承諾すれば、費用を折半することも可能ですが、 出してくれないケースはとても多いのです。

では、この場合はどうしたら良いのでしょうか?  

私としては、塀を作るほうが費用を出すことをお勧めしています。 

その理由は、

無理に費用を求めると、感情的な摩擦が生じる恐れがあるからです。 安く塀を作りたいために折半にこだわる気持ちも

あると思いますが、トラブルが起こってしまったら、そのような費用では収まらなくなるかもしれません。

また、訴訟して費用の半分を求めるなどの方法は、一見目的を達成するように見えるかもしれませんが、

近隣の人間関係に大きな傷を残します。 全くお勧めできません。

弁護士さんは、訴訟のプロで、相談すれば、訴訟することをお勧めする方もいるかもしれません。 

しかし、当事者の裁判後の住居環境まで頭が回っていないこともありますので、注意してくださいね。

私が見ているなかでは、共有のブロック塀は少しずつ減ってきているように思います。


※5民法225条(囲障の設置)
 1、二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、
   その境界に囲障を設けることができる。
 2、当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、
   高さ2メートルのものでなければならない。


【 こんなのは違法なの? 】

・境界線”上”にお隣様の承諾無しで塀を設置すること

  違法です。 どのような塀であっても必ず承諾を受けて下さい。

・境界線を越えない位置にお隣様の承諾無しで塀を設置すること
  違法となる可能性が少しあります。 境界を越えなければ法律上では承諾を受ける必要がなくなります。 しかし承諾を必ず

  受けることをお勧めします。 境界線を越えない位置に設置する場合でも、境界線に合わせて設置するのであれば、現実的に

  相手の土地に足を入れなければ工事は出来ません。 不法侵入と言われないため、また住宅環境を害していると言われない

  ためです。
 そして何よりお隣様との感情的な摩擦を起こさないためです。 

ブロック塀の高さをお隣様の承諾無しで2mの高さにした 
  違法となる可能性があります。 境界を越えない塀であっても、相手の住宅環境を害するようであればいけません。

  建築基準法に上限が設けられていても、上限いっぱいに建てられません。 承諾の得られる範囲です。 もしお隣様が

  特に事情も無く50センチの高さしか承諾してくれないなど無茶な話を言われる場合は話は別です。ここでは省略します。


※裁判を行わなければ 違法かどうかの判定が難しい場合は多いです。 あくまで参考としてください。
  裁判をお考えの方は、お近くの弁護士にご相談ください。 当事務所でもご紹介いたします。


【 最後に 】

これから新しく塀を作る方へ

もしお隣様との関係で、少しでも不安があるのであれば、トラブルのリスクを減らすために、なるべく境界線を超えない位置で

つくりましょう。 境界線上につくるために、お互いに費用を出し合い(共有)するのは、私のほうでは、お勧めしていません。

共有の塀にすると、何をするのも話し合いが必要になるため、万一お隣様とトラブルがあった時に、取り扱いが非常に難しく

なってしまいます。


※修正H21.10.4:ブロック塀とその他の塀との記述が交錯していたための修正と、より分かりやすくするための修正をしました。
  誠に申し訳ありませんでした。

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